広島高等裁判所岡山支部 昭和28年(う)8号 判決
論旨は水産資源保護法第七条によつて処罰さるべき犯罪は魚を死なせる目的で使用された毒物によつて採捕された魚の所持禁止であるが、本件に於ては被告人等が、採捕所持していた魚類は之等を死なせて採捕する為使用された毒物によつて浮いた魚であるか否かについては之を認むべき証拠がない。又被告人等はかかる違法行為によつた魚であることについては認識を有しなかつたものであるから、被告人等は無罪たるべきものであるというにある。
よつて訴訟記録を精査し所論について検討を加えるに、水産資源保護法第七条違反の罪を構成するためには、魚獲の目的で毒物を使用してまひさせ、又は死なせて採捕した魚類であることを認識しながら、之を所持することを要することは所論のとおりである。
従つてたとえ魚類が毒物のためまひし又は死亡して浮流していたとするも、その毒物が魚獲以外の目的で使用され、又は偶然な事情のため毒物によつて浮流するに至つたものである場合に於ては、之を拾得所持するとも他の犯罪を構成することのあるは格別少くとも水産資源保護法第七条の罪を構成しないであろうし、又たとえ魚獲の目的で使用された毒物によつて浮流するに至つた魚類であつたとしても、魚獲の目的で使用された毒物によつて浮流するに至つた魚類であることについて、認識を欠く場合に於ては、犯意を欠くものとして右法条の処罰を免れる場合のあり得ることは推知するに難くない。